穴滝・小樽峠・松倉岩

 今回は、久々の遠征であります。 場所は小樽市天神(奥沢貯水池)より赤井川村落合ダムへ抜けるコースです。 ここはその昔、小樽から小樽峠を越えて赤井川村へ抜ける道があったそうです。現在もその大部分が現存するという事で、探訪してみる計画を去年から立てていました。そして、小樽市奥沢水源地を奥に進むと、小樽の名勝地?「穴滝」があります。今回は、穴滝を見学したのち、そこから更に進み、小樽峠を通り松倉岩を見学して赤井川村の常盤貯水池→落合ダムへ抜ける計画です。

 私が簡単に調べた範囲でも、かなり歴史ある場所のようでした。ここ小樽峠がいつから使用されていたかは不明でしたが、『赤井川村史』によると、明治21年に赤井川村に入植しているとあった。という事は、当時から小樽峠が使われていた可能性があります。それより前の記録は定かではありませんでしたが、人々が使っていた可能性はあるでしょう。そして、赤井川村側にある常盤貯水池の川は「小樽川」という名前が付けられている事からして、かなり以前から『小樽⇔赤井川』の道として使われていたのではないでしょうか。

 気になったのが付近の地名です。普通ならアイヌ語の地名が使われているものですが、「青木沢」「豆腐屋沢」等、和人入植後のものがほとんどです。そして、この界隈の利用が活発化するのは明治時代後半からのようで、主目的は「軍事道路」(日露戦争が要因)でした。 また、赤井川村に入植した人達も小樽への買い物などで小樽峠を利用していたようです。

 昭和に入ると、小樽峠東側にある松倉岩付近に『松倉鉱山』が出来たため、峠道の利用はさらに頻繁なものになったと思われます。採掘物は、昭和初期に金や銀などが採掘され、更には重晶石(硫酸バリウム)が多量に採れる事が分かり、昭和10年から本格的に操業を開始しました。硫酸バリウムは、測距儀や潜水艦の潜望鏡などのレンズに使われる物ですから、当時は国も力を入れた採掘だったでしょう。そして、戦後も医薬品の原材料としてバリウムを採掘していたようです。

 昭和26年に小樽峠は、のちの道路名称『国道393号線』の開通によりその歴史が終わります。 今回は、入植者や当時の人がどのような思いでこの峠を越えたのか、という事も合わせて探訪しましょう。 と、前置きはこれぐらいにして、まずは出発です。

   
なにせ小樽市まで片道250kmもあるから函館出発は午前4時、長万部を過ぎて蕨岱駅で小休止。足の遅いTWでも、朝は若干のワープ航法が出来るから、ここまで2時間弱、それでもまだ半分も来てません。今回は先が長いんです。

 
前日の天気予報、[雨/曇]が見事に外れ、まずまずの天気。R5から倶知安でR393へ乗換えて小樽市を目指します。
小樽市に入り、毛無山展望所から小樽市内の景色を眺めると・・・

   
今回探訪予定の松倉岩がチラリと見えた。肉眼ではニャンコの耳みたいに二つの岩がチョコンと出てました。


ここの標高は約470mだそうで、松倉岩が711mだから、更に絶景が見られるかも知れません。

 
さて、起点となる奥沢水源池到着です。ここはまだ舗装路なので楽々前進します。

 
すぐに分岐が現れて右方向へ行くと天狗山、穴滝、松倉岩の道標があった。その先にゲートがあったが、いつもの様に、ゲート御免なさいの脇抜けで通る前に、林道走行の準備をしていたら、地元のオジサン達がやってきたんです。少し話をしたら、ここのゲートは、鍵から番号キーになってネットで鍵を買ったけど、今は通られなくなったとか言ってた。 なんだそれ? 

そしたら、すぐに別のオジサンがやってきて『赤井川へ抜けるの?』と訪ねてきた。オジサンの言う事には、昔は旧道が健在だったけど、今は新しい林道が出来て、旧道部分は廃道になってる箇所があるとの事。と、そのオジサンとの話が終わったら、シルバー山ガールの御一行がゲートから穴滝見物に行くって言ってた・・・ 流石というか、函館界隈とじゃ人口密度が違う札幌圏です。色んな方法で野山を楽しむ方々がいらっしゃるようで・・・

 
いえね、実は私、ここへ来る時はメイトで来ようと計画してたんです。なぜかと言うと、ここは徒歩で野山を楽しむ方々が沢山入ってるとネットで知ったからで、その方々には、間違いなくバイクのエンジン音が不快なはずです。私だって自分のバイクのエンジン音が五月蝿いと思う事があるくらいだし、ましてや林道で小休止してマッタリしてる時、エンデューロするようなオフロードバイクが轟音で脇を走られたら、折角一人で静かさを楽しんでるのがブチ壊しでムカつく事があるくらいですから。 なので、少しでも野山を楽しむ方々に不快感を与えないステルス性?のあるメイトを考えたんです。 結局、舗装路500kmを走らなければならないので止めたんですけどね。

 
若干の雨裂があるものの、ゲートから約2.5kmの良好な林道を走って穴滝入口到着。入口の少し先にTWを停めて、ここから0.5kmの歩きです。

 
2011年にRJさんが探訪した時、『ここは長靴がベスト』のお話通り、函館から長靴を履いて来たから泥んこ道も楽勝で歩けます。意外だったのは、春の野草が多く、花を楽しみながら歩けた事。ヤチブキ(エゾノリュウキンカ)の群落があったし・・・

 
シラネアオイも沢山あり、函館界隈の林道端ではサンカヨウの群落なんか見たことありません。

 
しかも、カタクリやエゾエンゴサクもまだ咲いてる。おそらく、この辺りは一気に春が来るんでしょう。ちなみにエゾノリュウキンカはお浸しにして食べると美味しいから、昔は花なんか楽しみませんでした。

 
花を楽しみながら歩いてると、前方に洞窟が見えて来ました。これが穴滝みたいです。ここ、ネットで何度も写真を見たけど、どういう構造なのかよく分からなかったんです。


百聞は一見に如かず、これでやっと滝の作りが分かりました。滝自体は、せいぜい3m程の何処にでもある小滝です。そこから水が上画像右方向へ流れ、岩を侵食し“穴”を作って下流へ流れてた。 ゲートで会ったオジサンに『見ると大した事ないよ』と言われたが、滝は小さいけど穴は見ごたえありました。崩れそうで怖いから、マッタリ出来ずトットト戻ります。

 
その前に、ウサギさんと滝で一枚パチリ。 林道へ戻って小樽峠を目指しましょう。 『穴滝動画』

 
ここを探訪する決行日を去年からずっと研究していました。春が遅ければ、イタドリや蕗が繁茂して走行困難箇所が出て来そうだし、早ければ雪で前進出来ません。しかもこの界隈は、北側斜面で雪解けがかなり遅いはずです。通常、亀田半島の林道が全線雪解け通行可能が5/20頃です。小樽は一週間遅いと読んで、今回探訪した5/26にしました。予想が的中したようで、残雪こそあるものの、何とか残雪箇所を通る事が出来た。おそらく先週は通れなかったと思います。

 
穴滝入口から約3kmで小樽峠到着。 あらら・・・小樽峠の看板を楽しみにしてたけど、無くなっていました。ここを左折すれば松倉岩方向です。

 
地図で見ると分かりますが、この直角カーブから藪漕ぎすれば約500mで松倉岩です。等高線が混んでないから、ここから入ろうと思ったけど笹が結構あるから、この先の最短ルートも見てみます。どうやら、今季バイクで来たのは私が最初みたい。倒木をノコギリで切断する箇所2つと、手で退ける箇所が2つ現れた。

 
地図では、左折して松倉岩へ近づく道があります。ここに松倉岩0.5kmの道標、直進は廃道です。

 
終点は広場になっていた。この広場が松倉鉱山跡地だったそうです。見回したところでは人工的な物はありません。ここから松倉岩まで直線距離にして100m強、高低差40mぐらいかな? 近いし笹も殆ど無いからこっちから入りましょう。と、入ったのは良いけれど、この辺からもう松倉岩が始まってるようで岩が露出しているわ、クレパス状に穴が開いてるわで、三点支持しながらオズオズと木や蔦に掴まりながら登ります。

 
15分程で前方にそそり立つ松倉岩が見えて来ました。まるで西洋のお城って感じです。写真じゃ高さや大きさが分からないでしょう? 5階建てぐらいのビルが左右に一つづつ並んでるって想像してみて下さい。大体そんな感じです。

 
岩本体に取り付いたけど、どこから頂上へ登れるか分からないからグルリと松倉岩を回って、登れそうな所からチャレンジ。


エッチラオッチラ登って、下を見るとすごい高度感でビビるが、展望は抜群です。毛無山展望所の標高470mから更に241m高い711mの景色がこれです。


頂上の一段下の岩の上に置いた、ウサギさんと荷物の写真が一番高度感があるかな? 怖いからかも知れませんが、黙って座ってても岩が揺れてるような気がするんです。あまりマッタリ出来そうもないけど、おにぎり一個を食べてから下山します。帰りは、同じルートだから10分もかからずTWまで戻り松倉岩探訪終了。私でも登れたから、登ろう思う人は登れると思いますが、岩がクレパス状になって下が真っ暗な所もあったので、落ちないようにくれぐれも気をつけて下さい。 『松倉岩動画』

 
小樽峠まで戻り、分岐を直進して真新しい林道を常盤貯水池へ向けて進みます。

 
GPSを見ると、ここが旧道のようですが、現在は完全な廃道だった。途中、ウドが至る所に生えてるので、少しだけ頂きましょう。今年はウドの当たり年みたいで、どこのウドも太いのが多いみたい。

 
真新しい林道区間が終わると、古い林道区間となりました。 ところで、走っててある事に気が付いた。なんの事はない、生えている木が道南と違うんです。道南だとブナが多いけど、ここは北限の黒松内以北なので生えてません。代わりに桂の大木が目に付きました。 少しして、冒頭でご紹介した小樽川を渡河します。(画像右上)

 
その先に分岐、ここは右です。左は地図だと常盤地区へ出られるはず? この界隈は、ずっと路面が安定していてメイトでも走行可能でしょう。 途中、ノジュールが崖から落ちたような珍しい穴の開いた崖があった。(画像右上)

 
左手に常盤貯水池が見えて前方にゲート、ここを過ぎれば今回の探訪は終わりです。(途中、毛無山側から林道へ入ってきた山菜採り&釣りライダーとお話しました

 
その先のすこぶる良好な林道を通り13:00落合ダム到着。おにぎりや飲みかけのジュースを食べて帰りに備えて腹ごしらえ。これからまだ200km以上走らなければいけませんからね。

  
久々に走るR393やR5から見える羊蹄山が新鮮でした。

今回の全走行距離540km、林道20km 徒歩1時間だったから、小樽に住んでたら半日コースだと思ったね。


戻る   HOME   2012年05月26日

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