旧礼文華・静狩峠

 礼文華界隈を通ると国道37号線脇から旧道がチラチラ見えるのが以前から気になっていた。この道は、私が子供の頃は間違いなく現役の国道だったはずです。当時の記憶では、今のような直線の多い国道ではなく、崖の多い山側や海岸線を走った微かな記憶があります。現在は殆どが完全に廃道化してしまい、徒歩でも通行は困難を極めると思う。その中で旧礼文華峠と静狩峠は現在も通行可能らしいので、その状況を一度見てみようと出かけてきました。

   
探訪日である5月29日(日)は生憎の曇天、小雨も予想されるので函館から覚悟して国道5号線を北上した。案の定、大沼を過ぎると雨が降ってきた上、ガスがかかってご覧の様子。それでも舗装路だから問題なく豊浦町大岸地区へ到着。ここから函館へ戻るようにして旧礼文華峠と旧静狩峠を探訪します。 旧礼文華峠・旧静狩峠は「猿留山道」、「雷電山道」とともに蝦夷地の三大難所の一つだったそうです。 『詳しくはこちら』

 
その前にチョット寄り道して茶津崎(画像左側の岬)を見学。ここはカムイチャシ史跡公園やキャンプ場などがあります。カムイチャシとはアイヌの砦址の事だそうで、一方が尾根に続き三方が絶壁の要塞地です。なんでも昭和46年に発見されたそうです。

 
トイレタイムと小休止。 画像右のトンネル横に旧トンネルがある。昔は私もこのトンネルを通ったはずです。

 
トイレタイムも終り、いよいよ旧礼文華峠を目指します。途中、海岸線を楽しめる景色があるけど割愛。函館近郊だと日浦海岸(サンタロ海岸)付近の景色と同じ感じ。画像左正面が旧礼文華峠なんだけど、厚くガスがかかっていて前途多難な予感がする。 一応、礼文駅で記念撮影しましょう。この駅の次の上り線駅は、日本一の秘境駅『小幌駅』ですからね。

 
礼文華の集落を過ぎ、旧国道を進むと道は右カーブしているが、ここは直進。この写真のすぐ先で礼文華川という川を渡る。少し走ると右手に線路を見ながら平行に走る区間になり、線路はトンネルに入って道路はUターンカーブとなります。そのUターンカーブの辺りが旧礼文華峠入り口のはず?(画像右)。 「こんなに荒れてんの?」って思いながらも入ってみる。

 
古いタイヤのワダチもあるし道らしい事は確かだけど、入って100m足らずで倒木出現。一応切って前進すること数百m。もしこれが旧礼文華峠の道だとすると、こんな道が7km以上続くはずです。 う〜ん、本当にこの道でいいんだべか? GPSで確認すると50mほど別の所に道があると表示されていた。どうやら間違ったみたい。

 
戻って50mほど進むと分岐発見、右側には下の沢線という標識があった。どうやらこの道でしょう。@『地図』

 
林道旧国道へ入る。道はしっかりしており幅員も5m以上はあると思われます。林道レベルとしてはとても走り易い道。あくまでも林道レベルのお話で、これが当時の国道とすればトラックやバスのすれ違い時には運転手は相当な苦労だったでしょう。左上地図を見ると分かるように、クネクネウネウネといつ終わるか分からないほど九十九折れしています。丁度函館山登山道のヘアピンカーブがダートになって続いている。と、言えば分かる人なら分かるでしょう。

 
道自体は走り易いから問題ないとして、問題は今日の天気。ガスが立ち込めて視界は50m前後と良くありません。しかも無風、トコトコ走って写真を撮る私にブヨがわんさか寄って来る。途中、森林公園へ続く遊歩道があり、散策を楽しむ事も出来るみたい。散策する人がいればですが・・・ 

 
クネクネウネウネ道に飽きた頃、正面に人工的な物が見えてきた。白樺で出来たベンチと案内板が二つあり、案内板には相撲取り場?と礼文華古道と書かれてる。

 
バイクを置いて礼文華古道と書かれた矢印の方へ歩いて行くと、確かに刈り払いされた人道があった。5分ばかり歩いてみたが、どうやらずっと道が続いているみたい。しっかり歴史を調べた上で、この道を歩くのも良いかもしれません。 さて、バイクへ戻り旧礼文華峠を目指しましょう。 

 
GPSではこの辺りが(画像左)旧礼文華峠のはずです。辺りはミズナラの大木があり、なかなかの景観です。これで視界が良ければ現道である国道37号線や小幌橋、そして小幌駅なんかも見られそうなんですけど、目から入る情報は半径50m前後だけで、あとは国道を通る車の騒音。峠を示す標識も案内板も無し。なんだか達成感がありません。 九十九折れ道も終わり、あとは現道目指してトットコ進む。 

 
道は峠の頂上から国道37号線の北側を通る道になり、左手が国道側のはずです。 その証拠に道の崩落防止用に金網とワイヤーが道全体に張られている区間があった。道全部に着艦ワイヤーがあると思えば分かる人はわかる? ワイヤーは良いとして、金網が破けて針金が出てると簡単にパンクしそう。出来るだけ土に埋まった部分を走る。その着艦ワイヤー道路が終わった頃、正面にチェーンをかけたゲートが見えてきました。ここを左に曲がれば舗装された旧国道37号線が現れます。その前に、ちょっとだけ右へ行ってみたけど、その先もチェーンを掛けられた林道だし、時間も無いからパス。

  
戻って旧国道37号線へ出た。ここは現在の国道37号線が使われる前の道です。ガスが立ち込めているからケムール人(←分かるかな?)でも出やしないかと心配になる? その旧国道37号線を少し走れば現道である国道37線へ出て旧礼文華峠は終了。A『地図』 走ろうと思えばメイトでも十分走行可能な道でした。 距離約7.8kmだった。 

 
さて、お次は旧静狩峠へ。 国道37号線から長万部方向へ1kmばかり進むと左手に林道?が見えてきます。この先にある静狩トンネル500m手前の分岐を左に曲がれば1kmちょっとで旧静狩峠へ続く道があるのですが、こっちから入った方が長い道だし楽しそうな場所があるから入ってみた。林道に入るとすぐに来馬川を渡河します。メイトだと限界ぐらいの渡河ですが、TWだと何事もなかったように通過。 その先にチェーンゲートがあったが、ゲートが倒れていいるからそのまま通過しました。

 
すぐに三叉路があり直進すると海へ出られるらしい道だから、これがお楽しみだったんです。@『地図』ところが今日は終日小雨ときたもんだから、この急坂を降りたら登れる自信がありません。なにせ、礼文華峠でもタイヤがツルツルだったから・・・ てなわけで次回という事にして旧静狩峠を目指しましょう。(右画像右が国道側、左が静狩峠側A『地図』) 

 
こちらは旧礼文華峠に比べ幅員が1mほど狭いが走行には問題なし。九十九折れがないから少し速いペースで走られます。でもね、時速12〜15kmが15〜20kmになった程度ですから・・・ 途中、辺り一面に誰かがフキをちぎり取って食べた跡があったけど、見なかった事にして前進します。ここも路面が良いから走り易いけど、辺り一面ガスで真っ白け。

 
天気が良ければ絶景かも知れないのにね・・・あれれ・・・なんと!! 一面タランボだらけじゃありませんか。 しかも誰にも採られずに、すっかり大きくなってしまった後で残念。 こりゃ〜来年、天気の良い日に来てみたいものです。 

 
この辺りもミズナラの巨木が結構あって楽しい道です。しばらく走ると左手に分岐、これが静狩(長万部側)へ抜ける道でしょう。

 
旧静狩峠はこの先で、少し進むと珍しい林道5叉路へ出た。真っ直ぐ進んで静狩峠到着したが、『地図』ここにも案内板の類は無し。 林道5叉路で小休止して静狩方向へ向かいましょう。200m程戻りさっきの分岐を進む。

 
走り易かった旧国道は、だんだん高度を落として行くにつれ、なんだかクリーミーになってきた。 そして完全に泥濘状態になる。こんな道だとメイトじゃ無理、TWで良かった。というかTWってこういう道に特化したバイクだから水を得た魚のように走るんです。(←少しウソ)

 
その状態が数キロ続き、カッパを履いた下半身が真っ黒けになった頃、正面に小川が現れた。ここから普通の林道レベルの道に戻って一安心。 

 
そろそろ出口のはずと思ったら正面にチェーンゲートが現れて、ごめんなさいの脇抜けで通過。その先右手にふ化場?と思われる施設があった。

 
そこを過ぎると採石場が現れる。 静狩金山砕石場と書かれた看板と事務所が見えて、ここが旧道の終点となります。
距離約8.7kmだった。    

 あとがき

今回は雨の中の探訪となり、景色を楽しむ事が出来ませんでした。道自体は普通の林道より少し落ちる程度だから走行には問題ありません。 この道、なかなか気に入ったので次回は複数人で遠足感覚で訪れたいと思ったのでした。もちろんタランボの採れる時期が最高でしょう。   
            
   帰りに寄った北豊津駅へ

戻る   HOME   2011年05月29日

inserted by FC2 system